1. はじめに:「Claude Codeで何ができるのか」を整理する回
第2回では、Claude Codeを「ローカル環境で動作する対話型のコーディング支援AI」として整理しました。ChatGPTやClaude Web版がブラウザ上の相談窓口だとすれば、Claude Codeは手元のプロジェクトを見ながら作業を支援する補助者に近い存在です。
本記事では、第1章の締めくくりとして、Claude Codeでできることを一枚の地図として整理します。Pythonの基礎を学び、pandas、matplotlib、scikit-learnなどに少し触れたことがある方を想定し、コード理解・修正・テスト・PR支援という代表的な使い方を解説します。
Anthropic公式ドキュメントでも、Claude Codeはターミナルを中心に動作し、コードベースの理解、ファイル編集、コマンド実行、コミットやプルリクエスト作成などを支援するツールとして説明されています。ただし、これは「すべてを自動で任せる道具」ではありません。Pythonを学んだ人が、自分の知識を使ってAIの出力を確認しながら進めるための実践的なパートナーです。
2. この記事で学ぶこと
本記事では、次の内容を扱います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コード理解 | 他人のPythonコードや過去の自分のコードを読み解く |
| 修正 | KeyErrorやTypeErrorなどの原因を特定して直す |
| 実行とテスト | pytestなどを使って処理結果の正しさを確認する |
| コミット・PR支援 | Gitの差分を要約し、変更履歴を残す |
| 安全な使い方 | APIキー、個人情報、研究データを不用意に扱わない |
Claude Codeの公式ワークフローにも、コードベース探索、バグ修正、リファクタリング、テストなどの日常的な作業が含まれています。本記事では、それらをPython経験者の視点に引き寄せて説明します。
3. まず押さえたい安全性の前提
Claude Codeは、ファイル編集やコマンド実行を伴う強力なツールです。便利である一方、扱い方を誤ると、意図しないファイル変更、機密情報の漏洩、不要なコマンド実行につながる可能性があります。
特に、次の情報はそのまま読ませないようにします。
- APIキー
- 患者情報
- 学生個人情報
- 未公開の研究データ
- 共同研究先や所属機関との契約上の機密情報
これは本シリーズ全体を通じた大原則です。なお、Claude Codeは初期状態では編集やコマンド実行に明示的な許可を求める仕組みになっており、人間が承認しない限り勝手にファイルを書き換えることはありません。とはいえ、そもそも機密データを渡さないことが最も確実な対策です。権限管理は第5回、機密情報の守り方は第6回で詳しく扱います。
4. Claude Codeでできること① コードを理解する
Pythonを学んだ後に最初につまずきやすいのは、「動くコードを書くこと」よりも「他人のコードを読むこと」です。
たとえば、次のような状況です。
- 研究室や職場で引き継いだPythonスクリプトを読む
- 半年前に自分で書いた分析コードを読み返す
- GitHubで見つけたサンプルコードを理解する
- pandasの処理がどこで行われているか確認する
Claude Codeには、次のように依頼できます。
このフォルダ内の analysis.py を読み、
CSVの読み込み、前処理、集計、グラフ出力までの流れを説明してください。
特に、pandasのDataFrameを加工している箇所と、
matplotlibでグラフを描いている箇所を分けて整理してください。
ブラウザ型チャットでは、基本的にコードを貼り付けて相談します。一方、Claude Codeはプロジェクト内の複数ファイルをたどりながら、関数や設定ファイルの関係を読み取れる点が特徴です。公式概要でも、Claude Codeはコードベースを理解し、ファイル編集やコマンド実行を含む作業を支援すると説明されています。
ここで重要なのは、AIの説明をそのまま信じないことです。Python経験者であれば、「pd.read_csvでCSVを読んでいる」「groupbyで集計している」「dropnaで欠損値を除外している」といった基礎知識があります。その知識を使って、Claude Codeの説明が妥当か確認します。
5. Claude Codeでできること② エラーの原因を特定して修正する
Pythonでは、KeyErrorやTypeErrorによく遭遇します。
KeyError: 'price'
TypeError: unsupported operand type(s) for +: 'int' and 'str'
このようなエラーが出たとき、Claude Codeには「直して」とだけ依頼するのではなく、原因の説明を先に求めることが重要です。
analysis.py を実行したところ、KeyError: 'price' で止まりました。
エラー文と該当箇所を確認し、
原因が列名の食い違いなのか、データ側の問題なのかを先に説明してください。
修正案を提示してから、必要な箇所だけ変更してください。
KeyErrorの場合、CSVの実際の列名が Price で、コード側では price と書いているだけかもしれません。TypeErrorの場合、数値として扱いたい列が文字列として読み込まれている可能性があります。
Claude Codeを使う意義は、単にエラーを消すことではありません。エラーを手がかりにして、コードとデータの関係を理解することにあります。エラーを手がかりとして扱う具体的な方法は、第9回でさらに掘り下げます。
6. Claude Codeでできること③ テストを作って結果を確認する
データ分析や業務用スクリプトでは、「コードが動いた」だけでは不十分です。集計結果が正しいか、欠損値の扱いが意図どおりか、入力データが空のときにどう動くかを確認する必要があります。
たとえば、月別売上を集計する関数がある場合、次のように依頼できます。
aggregate.py の monthly_total 関数に対する pytest のテストを作成してください。
正常なデータだけでなく、
空のDataFrame、欠損値を含むデータ、数値列が文字列になっている場合も確認してください。
テストは test_aggregate.py に作成してください。
Claude Codeの公式ワークフローにも、テストや検証は日常的な作業として含まれています。ただし、生成されたテストもAIの出力です。期待値が正しいか、異常系が十分に含まれているか、テストが本当に確認したい内容を検証しているかは、人間が確認する必要があります。
特にPython経験者は、次の観点で確認するとよいです。
- 正常系だけでなく異常系も含まれているか
- 空データや欠損値などの境界条件があるか
- 期待値が手計算しても妥当か
- テストが実装に依存しすぎていないか
テストの作り方と妥当性の見極めは、第11回でじっくり扱います。
7. Claude Codeでできること④ コミットとPRを支援する
コードを変更した後に重要なのが、変更履歴を残すことです。Gitに慣れていない場合、「どの変更をコミットすればよいか」「コミットメッセージに何を書けばよいか」で迷うことがあります。
Claude Codeには、次のように依頼できます。
今回の変更内容を git diff で確認し、
変更点を日本語で要約してください。
意味の異なる変更が混ざっている場合は、
コミットを分ける方針も提案してください。
最後に、英語のコミットメッセージ案を3つ出してください。
Anthropic公式の概要では、Claude CodeはGitと直接連携し、変更のステージング、コミットメッセージ作成、ブランチ作成、プルリクエスト作成を支援できると説明されています。また、GitHub Actionsとの連携では、PRやIssue上でClaudeに依頼してコード分析や修正、PR作成を行うワークフローも紹介されています。
PRとは、Pull Requestの略で、変更内容をレビューしてもらうための提案です。非エンジニアにとっては少し難しく聞こえるかもしれませんが、「作業内容を説明付きで提出する記録」と考えると理解しやすくなります。GitHubの最小限のセットアップとPR作成の実際の手順は、第13回で扱います。
8. 動くコードを読みやすく整える:リファクタリング
4つの基本ワークフローに加えて、Python経験者にとって特に役立つのがリファクタリングです。リファクタリングとは、コードの動作を変えずに、読みやすさや保守しやすさを改善する作業です。
たとえば、1つの analysis.py に次の処理がすべて入っていることがあります。
- CSV読み込み
- 欠損値処理
- 集計
- グラフ作成
- ファイル保存
この場合、次のように依頼できます。
analysis.py は1ファイルに全処理が詰まっています。
処理結果を変えずに、
読み込み、前処理、集計、グラフ作成を関数に分けるリファクタリング案を出してください。
まず方針を説明し、変更前後で結果が変わらないことを確認する方法も提案してください。
ここでも大切なのは、「一気に書き換えてもらう」ことではありません。まず方針を出してもらい、差分を確認し、必要に応じてテストを実行する流れが安全です。リファクタリングの考え方は第10回で詳しく扱います。
9. 研究・教育・医療分野での使いどころ
薬学・医療・教育・研究の現場では、Pythonによるデータ処理が身近になっています。
たとえば、次のような用途があります。
- 実験データの集計
- アンケート結果の整形
- 教材用グラフの作成
- 文献リストの整理
- CSVファイルの前処理
- scikit-learnを使った簡単な分類モデルの検証
Claude Codeは、こうした作業で「コードを読む」「エラーを直す」「テストする」「変更を記録する」部分を支援できます。
ただし、患者情報、学生情報、未公開の研究データは、所属機関の規程や共同研究者との合意なく外部AIサービスに渡してはいけません。研究倫理・個人情報保護・所属機関のAI利用ポリシーとの整合を、必ず読者自身が確認する必要があります。
10. 第1章のまとめ:ここまでの到達点
本記事は第1章(導入)の最終回です。Claude Codeでできることは、大きく次の4つに整理できます。
- コードを理解する
- エラーの原因を特定して修正する
- テストを作成して結果を検証する
- GitやPRを使って変更履歴を残す
これらは別々の機能ではなく、「読んで、直して、動かして、記録する」という一連の流れとしてつながっています。
Pythonを学んだ人にとって、Claude Codeの価値は「コードを全部任せられること」ではありません。自分のPython知識を使いながら、AIと一緒にコードを読み、修正し、検証できることにあります。第1回から第3回までで、「Claude Codeとは何で、何ができるか」という概念の地図は完成しました。
次回予告
第4回からは第2章(事前準備と安全)に入ります。実際にClaude Codeを使う前の準備として、「Python経験者がつまずきやすいフォルダ・ターミナル・Git」を扱います。Google ColabやJupyterでPythonを動かしてきた方が、ローカル環境へ進むために押さえておきたい、カレントディレクトリ・パス・ターミナル操作・Gitの基本概念を、順を追って整理します。
公式ドキュメント参照のリマインド
Claude Codeの仕様・料金・対応環境・利用条件は短期間で更新されます。本記事の内容は2026年5月時点の情報を基に執筆していますが、実際にインストールや契約を行う前に、必ずAnthropic公式ドキュメント(https://code.claude.com/docs)およびClaude Code製品ページ(https://claude.com/product/claude-code)で最新情報を確認してください。
参考文献・関連リンク
- Anthropic公式:Claude Code Docs(
https://code.claude.com/docs) - Anthropic公式:Claude Code 製品ページ(
https://claude.com/product/claude-code) - 本シリーズ第1回:Pythonを学んだ人がClaude Codeを学ぶ意味
- 本シリーズ第2回:Claude Codeとは何か ― ChatGPTや通常のClaudeとの違い
- 本シリーズの公式コンセプト:claude-code-python-blog-series-plan.md(ファーマAIラボ内部資料)
本記事の位置づけに関する注記
本記事は、Anthropicが公開しているClaude Code関連情報を参考に、Python学習経験のある非エンジニア向けに筆者が独自に構成・解説したものです。AnthropicまたはClaude Codeの公式記事ではありません。仕様、料金、対応環境、利用条件は変更される可能性があるため、最新情報は公式ドキュメントをご確認ください。
制作ノート
本シリーズの記事およびサンプルコードは、Claude Code/Claude Opus 4.8を活用して執筆しています。AI生成情報については、公式ドキュメント・報道記事等の一次情報で裏取りした上で掲載しています。読者の皆さまにおかれましても、AIを使って成果物を公開する際は、AI関与の透明化を推奨します。
免責事項
本記事は生成AIを活用して作成しています。内容については十分に精査しておりますが、誤りが含まれる可能性があります。また、Claude Codeおよび関連サービスの仕様・料金は変更される場合があります。最新かつ正確な情報は必ず公式ドキュメントをご確認ください。お気づきの点がございましたら、コメントにてご指摘いただけますと幸いです。なお、本記事の内容に基づいて生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。
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