はじめに
近年、医療分野ではデジタルトランスフォーメーション（DX）が急速に進んでいます。そして2025年（令和7年）には、診療報酬および調剤報酬の大きな改定が行われることが決定しました。この改定では、電子処方箋やマイナ保険証の普及促進が大きな柱となっています。本記事では、一般の方々にも分かりやすく、改定の内容や影響を解説していきます。
診療報酬改定とは？
まず、「診療報酬改定」とは何かを簡単に説明します。
診療報酬とは、病院や診療所、薬局が医療サービスを提供した際に、国が定めた基準に基づいて請求できる報酬のことです。これらは数年ごとに見直され、最新の医療事情に適応するように調整されます。令和7年の改定では、特に「医療DXの推進」が大きなテーマとなっています。
改定のポイント
今回の改定で注目すべきポイントは以下の3つです。
① マイナ保険証の利用促進 ② 電子処方箋の義務化と管理体制の強化 ③ 在宅医療DXの推進
それぞれ詳しく見ていきましょう。
中央社会保険医療協議会 総会（第603回）令和７年１月29日（水）医療DX推進体制整備加算及び在宅医療ＤＸ情報活用加算の見直し
① マイナ保険証の利用促進
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」の導入は、政府が進める医療DXの重要な施策です。令和7年4月以降、医療機関や薬局はマイナ保険証の利用率を段階的に向上させることが求められます。
具体的には、
- 令和7年4月～9月の間に利用率を30%以上にする
- 一部の加算（診療報酬）はマイナ保険証の利用率に応じて変動する
このような条件が設けられています。今後、紙の保険証は廃止される予定のため、早めの対応が求められます。
【加算点数】
- 医療DX推進体制整備加算：1～6段階（6～12点）
- 在宅医療DX情報活用加算：9～11点
② 電子処方箋の義務化と管理体制の強化
令和7年3月31日をもって、一部の経過措置が終了し、多くの医療機関・薬局で電子処方箋の導入が義務化されます。電子処方箋とは、紙の処方箋ではなく、データとして処方情報を管理・共有するシステムです。
この改定のポイントは以下の通りです。
- 電子処方箋を発行できる体制を整えた医療機関には加算（点数）が付与される
- 調剤薬局では、紙の処方箋も含めて調剤結果を電子処方箋管理サービスに登録することが義務化
- 電子処方箋未導入の医療機関・薬局は加算点数が低く設定される
【加算点数】
- 調剤基本料：電子処方箋導入薬局 10点、未導入薬局 7点
つまり、電子処方箋を導入することで、より高い報酬を得られるようになるという仕組みです。
③ 在宅医療DXの推進
近年、高齢化の進展に伴い、在宅医療の需要が増加しています。そこで、DXを活用した在宅医療の推進も大きなテーマとなりました。
- 在宅医療を提供する医療機関は、電子資格確認やオンライン情報共有体制の整備が求められる
- 電子情報の活用に積極的な医療機関には「在宅医療DX情報活用加算」が付与される
【加算点数】
- 在宅医療DX情報活用加算：9～11点
これにより、訪問診療や在宅看護においても、よりスムーズな医療情報の共有が可能になります。
改定による影響と対応策
今回の改定により、患者・医療機関・薬局それぞれに影響があります。
▶ 患者の影響
- マイナ保険証の利用が推奨されるため、早めに手続きを済ませることが重要
- 電子処方箋により、処方内容をスムーズに管理できるようになる
▶ 医療機関・薬局の影響
- マイナ保険証利用率の向上が必須（利用率によって加算点数が変わる）
- 電子処方箋の導入が義務化され、調剤情報の電子登録が必要
- 在宅医療を行う医療機関は、DX対応を進めることで加算を得られる
これに対応するため、医療機関や薬局は、
- マイナ保険証の利用を促進する広報活動を強化
- 電子処方箋システムの導入と運用体制の確立
- 在宅医療に関するDX施策の導入 を早めに進めることが求められます。
まとめ
令和7年の診療報酬改定では、医療DXの推進が大きなテーマとなっています。
- マイナ保険証の利用促進
- 電子処方箋の義務化と管理体制の強化
- 在宅医療のDX推進 これらの動きを理解し、患者・医療機関・薬局それぞれが適切に対応することが重要です。
今後も最新情報をチェックしながら、医療DX時代に備えましょう！
参考資料
- 中央社会保険医療協議会 総会（第603回）議事次第 令和７年１月29日（水）https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_49588.html
免責事項
本記事の内容は、令和7年診療報酬改定に関する最新情報を基に執筆しておりますが、制度の詳細や運用に関する最終的な判断は、厚生労働省や関連機関が公表する正式な資料をご確認ください。また、記事内の情報は一般的な参考情報として提供されており、個別の医療機関や薬局の状況によって適用が異なる場合があります。記事の内容に基づいた行動の結果について、当サイトおよび筆者は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
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