AI創薬の現場で何が起きている?ChimeraXとAutoDock Vinaで視る「分子結合」の世界
1.はじめに:医療現場と「創薬の最前線」をつなぐ架け橋として 日々の診療や調剤業務に追われる医療従事者の皆様にとって、「新しい薬がどのように設計されているか」というプロセスは、興味深くも少し遠い世界に感じられるかもしれま […]
AutoDock Vina(オートドック・ヴィナ)は、創薬研究で用いられる高速で高精度な分子ドッキング計算ソフトウェアです。
これは、薬の候補となる低分子化合物(リガンド)が、標的タンパク質(受容体)の結合ポケットに「どれだけ強く、どのような姿勢で結合するか」を、計算によって予測するエンジンの役割を果たします 。
主な役割
結合親和性の計算: 化合物とタンパク質の間の結合のしやすさ(親和性)を数値(スコア)で評価します。スコアが低い(負の値が大きい)ほど、結合が強いと判断されます。
結合姿勢の予測: 薬がタンパク質のどの位置で、どのような角度で結合するかの「最適な姿勢」を予測します。
高速な処理: 従来のソフトに比べ計算速度が非常に速く、数多くの化合物を短時間で評価する仮想スクリーニングに不可欠なツールです。AI創薬のワークフローにおいては、AIが生成した多数の候補化合物を物理的に検証し、有望なものを選抜する「頭脳」としての機能を担っています。
1.はじめに:医療現場と「創薬の最前線」をつなぐ架け橋として 日々の診療や調剤業務に追われる医療従事者の皆様にとって、「新しい薬がどのように設計されているか」というプロセスは、興味深くも少し遠い世界に感じられるかもしれま […]