カサンドラ症候群

カサンドラ症候群とは、主に自閉スペクトラム症(ASD)など、共感性やコミュニケーションに特性のあるパートナーや家族と情緒的な相互関係を築けないことから、相手を支える側が深刻な精神的・身体的苦痛を経験している状態を指します。ギリシャ神話の「予言を誰にも信じてもらえなかった王女カサンドラ」にちなんで名付けられました。周囲に悩みを訴えても理解されず、「考えすぎだ」「あなたが気にしすぎなのでは?」などと言われてしまうことで、深い孤独感や自己肯定感の低下、抑うつ、不安障害、疲労感、頭痛といった症状に苦しむことがあります。重要なのは、これが正式な医学的診断名ではなく、特定の関係性の中で生じる困難な「状態」を説明するための言葉であるという点です。