厚生労働省は、「電子処方箋システム一斉点検の実施について」の情報を令和6年12月19日に発出しました。概要を次に示します。
概要
- 背景: 令和5年1月から運用されている電子処方箋システムにおいて、医療機関や薬局での設定不備により、異なる医薬品名が表示される事例が7件報告されています。これは、登録されていない医薬品用のダミーコード*の誤用によるものです。
目的
- 医師の意図と異なる医薬品の処方を防ぐため、医療機関や薬局にシステムの点検を依頼します。
対応策
- 点検要請:
- 医療機関や薬局に対し、電子処方箋の設定確認を要請し、厚生労働省への報告を求めます。
- 具体的な手順:
- 12月19日から、ポータルサイトを通じて周知と対応依頼のメールを送信。
- 23日、24日に未確認の医療機関に電話確認を実施。
- 25日以降、対応済みの医療機関を公表。
- システムベンダーへの報告要請:
- 提供するシステムのコード仕様について、厚生労働省への報告を求め、その結果を公表します。
- 電子処方箋発行の一時停止:
- 12月20日から24日まで、医療機関からの電子処方箋の発行を停止し、紙の処方箋を発行するよう指示します。
- 再開後の取り扱い:
- システム再開後、対応済みの医療機関のみが電子処方箋を発行できるようにし、それ以外は紙の処方箋を発行します。
*ダミーコードとは?
システムにコードが登録されていない医薬品に用いるためのコード
医療機関や薬局で使用する電子処方箋管理サービスにおける医薬品コードの運用
1. 医薬品コードの種類
- YJコード、レセプト電算コード、一般名処方コードのいずれかが、電子処方箋管理サービスに登録する際に使用されます。
- 医療機関や薬局は、これらの医薬品コードを適切に設定し、確認する必要があります。
2. 特殊なケース
特定の条件下で、医薬品のダミーコードを使用する場合があります。
- 例:
- 「経過措置医薬品(YJコード廃止医薬品)」を処方する場合。
- 一般名処方の算定ができない医薬品を処方する場合。
- ただし、これらは特別な場合のみ使用可能であり、原則として通常の医薬品コードを使用する必要があります。
3. 運用のフロー
医療機関の処方
- 医師や歯科医師が処方を入力。
- 特定の医薬品に対応するマスタ設定が行われる。
- 電子処方箋管理サービスに医薬品コードが登録されます。
薬局での処方対応
- 登録された医薬品コードを薬局が取得。
- マスタでの確認を行い、特定の医薬品を表示。
- 調剤が進められます。
4. 注意事項
- 運用で注意すべき点:
- 医薬品マスタの設定に誤りがないかを確認する。
- 特定の医薬品が適切に反映されているかチェックする。
- ダミーコードを不用意に設定しない。
- 意図しない医薬品が表示される主な原因:
- 医薬品マスタ設定の不備。
- 特定医薬品に特殊な事情を除外する設定のミス。
5. 調剤時の確認
薬局では調剤の際、必ず薬剤名を確認してから行うよう求められています
電子処方箋管理サービスで使用する医薬品コードについて(出所:厚生労働省)
電子処方箋管理サービスにおける医薬品コード設定のエラーに関する具体的な例
パターン1: 規定のコードの設定誤り
説明:
- 医療機関Aでハウスコード(施設独自のコード)を設定し、そのコードが電子処方箋管理サービスで使用されている規定のコードに変換されるはずが、誤った設定を行っています。
- その結果、薬局Bで表示される情報が誤り、正しい医薬品情報を反映できない場合があります。
エラーの流れ:
- 医療機関A:
- 医師が「薬剤A」を入力し、ハウスコード(例: 123451234)を設定。
- このハウスコードが規定のコード(例: 123456789)に誤設定されます。
- 電子処方箋管理サービス:
- 規定のコードがサービスに登録されますが、誤った情報が登録されているため、薬局での表示に影響します。
- 薬局B:
- 規定のコード(誤ったコード: 299999999)が取得され、医薬品の表示が異なります。
対策:
- 医薬品マスタの設定を確認し、正確な規定コードが設定されているかを運用時に必ずチェックする必要があります。
電子処方箋管理サービスにおける医薬品コード設定のエラーに関する具体的な例(パターン1)(出所:厚生労働省)
パターン2: ダミーコードの使用
説明:
- 医療機関が医薬品の設定を行わず、ダミーコードで登録してしまう場合。
- 薬局Bでダミーコードを基にした誤った医薬品情報が表示されます。
エラーの流れ:
- 医療機関A:
- 医師が「薬剤D」を入力しますが、医薬品コードの設定がされておらず、ダミーコード(例: 666660000)が登録されます。
- 電子処方箋管理サービス:
- 薬局B:
- 薬局Bでは、ダミーコードに基づき、医薬品Dとは異なる薬剤情報が表示される可能性があります。
対策:
- ダミーコードを誤用しないように、医薬品コードを適切に設定する必要があります。
- 特定の医薬品が表示されない場合、設定状況を確認する運用ルールが求められます。
電子処方箋管理サービスにおける医薬品コード設定のエラーに関する具体的な例(パターン2)(出所:厚生労働省)
全体の要点
- 医薬品マスタ設定の重要性:
- 誤った設定が患者への影響を及ぼす可能性があるため、設定の確認は不可欠です。
- ダミーコードの制限:
- ダミーコードの使用は避けるべきであり、医薬品情報が正確に反映されるような体制を整える必要があります。
- 運用上の注意:
- 医療機関と薬局の連携を強化し、コードの誤りが起きない仕組みを構築することが重要です。
ダミーコードの誤用を防ぐための教育・研修はどのように実施されますか?
ダミーコードの誤用を防ぐための教育・研修は、以下のような方法で実施されます。
- 定期的な研修プログラムの実施: 医療機関や薬局のスタッフを対象に、定期的にダミーコードの正しい使用方法やシステムの設定に関する研修を行います。これにより、最新の情報や手順を共有し、理解を深めます。
- オンライン教育コンテンツの提供: eラーニングプラットフォームを利用して、ダミーコードの使用に関するオンライン教育コンテンツを提供します。スタッフは自分のペースで学習でき、必要な知識を身につけることができます。
- ワークショップや実地訓練: 実際のシステムを使用したワークショップや実地訓練を実施し、具体的な操作方法や設定手順を体験させます。これにより、実践的なスキルを習得させることができます。
- マニュアルやガイドラインの配布: ダミーコードの使用に関する詳細なマニュアルやガイドラインを作成し、医療機関や薬局に配布します。スタッフがいつでも参照できるようにし、正しい手順を確認できる環境を整えます。
- ケーススタディの導入: 過去の誤用事例を基にしたケーススタディを取り入れ、具体的な問題点や改善策について議論します。これにより、実際の状況を想定した学びを提供します。
- フィードバックの収集と改善: 研修後に参加者からのフィードバックを収集し、研修内容や方法の改善に役立てます。参加者の意見を反映させることで、より効果的な教育プログラムを構築します。
- 継続的な評価とフォローアップ: 教育・研修の効果を定期的に評価し、必要に応じてフォローアップ研修を実施します。これにより、知識の定着を図り、再発防止に努めます。
これらの取り組みを通じて、医療機関や薬局のスタッフがダミーコードの正しい使用方法を理解し、誤用を防ぐための意識を高めることが重要です。
用語について
*YJコードとは?
- 日本における医薬品や医療機器の識別に使用されるバーコードの一種。次に主な特徴を示します。
- 識別番号: YJコードは、医薬品や医療機器に固有の識別番号を付与するために使用されます。この番号は、製品の種類や製造元、ロット番号などの情報を含むことができます。
- バーコード形式: YJコードは、バーコード形式で表現されており、スキャナーを使用して迅速に読み取ることができます。これにより、医療現場での効率的な管理が可能になります。
- 標準化: YJコードは、日本国内での医薬品や医療機器の流通において標準化されたコードであり、業界全体での統一的な識別が可能です。
*レセプト電算コード
- 日本の医療保険制度において、医療機関が患者に対して提供した医療サービスや処置、投薬などの情報を電子的に管理・処理するために使用されるコードです。次に主な特徴を示します。
- レセプト電算コードの特徴
- 標準化されたコード: レセプト電算コードは、医療サービスや医薬品、診療行為などを一意に識別するために標準化されたコード体系です。これにより、医療機関間での情報の共有や処理が容易になります。
- 電子レセプトの基盤: レセプト電算コードは、電子レセプト(電子的な診療報酬請求書)の作成や提出に必要な情報を含んでいます。医療機関は、患者の診療内容をこのコードを用いて記録し、保険者に請求します。
- 多様な情報の管理: レセプト電算コードは、診療行為、投薬、検査、手術など、さまざまな医療サービスに対応しており、医療機関が提供する多様な情報を管理することができます。
*一般名コードとは?
- 医薬品の一般名(成分名)を一意に識別するためのコードです。次に主な特徴を示します。
- 一般名コードの特徴
- 標準化された識別子: 一般名コードは、医薬品の成分名を標準化して識別するためのコードであり、医療機関や薬局での処方や調剤において一貫性を持たせる役割を果たします。
- 医薬品の特定: 一般名コードを使用することで、特定の医薬品の成分を明確に示すことができ、ブランド名や製造元に依存せずに医薬品を特定できます。
- 電子処方箋との連携: 電子処方箋システムでは、医師が処方する際に一般名コードを用いることで、薬局側での調剤や医薬品の管理がスムーズに行えるようになります。
表 YJコード、レセプト電算コード、一般名コード、ダミーコードの違い
特徴 | YJコード | レセプト電算コード | 一般名コード | ダミーコード |
---|
目的 | 医薬品や医療機器の識別 | 医療サービスや処置の請求情報の管理 | 医薬品の成分名を識別 | システムに登録されていない医薬品の識別用 |
使用される場面 | 医薬品の流通管理、在庫管理、トレーサビリティ | 診療報酬請求、電子レセプトの作成 | 電子処方箋、調剤時の医薬品特定 | 一時的な処方やシステム設定時の代替使用 |
コード形式 | バーコード形式で表現 | 数字やアルファベットの組み合わせ | 数字やアルファベットの組み合わせ | 特殊なコード(通常は仮のコード) |
標準化の有無 | 標準化されたコード体系 | 標準化されたコード体系 | 標準化されたコード体系 | 標準化されていない |
情報の内容 | 医薬品の種類、製造元、ロット番号などの情報 | 診療行為、投薬、検査、手術などの情報 | 医薬品の成分名(一般名) | システムに登録されていない医薬品の代替名 |
データ管理の目的 | 医薬品のトレーサビリティ向上、在庫管理効率化 | 請求の効率化、データの正確性向上 | 医薬品の選択肢の明確化、処方の正確性向上 | 誤用防止や不具合の回避 |
本記事は生成AIを活用して作成しています。内容については十分に精査しておりますが、誤りが含まれる可能性があります。お気づきの点がございましたら、コメントにてご指摘いただけますと幸いです。
Amazonで「医療DXの今後に向けて 電子処方箋・オンライン資格確認Q&A」の書籍を見る