スマホで利用できるマイナ保険証が外来診療を変える ― 医療DXの最新事情
近年、「マイナ保険証」という言葉を耳にする機会が増えました。マイナンバーカードを健康保険証として使う仕組みで、これまでの紙やプラスチック製の保険証を置き換えるものです。さらに2025年からは、スマートフォンにもこの機能を搭載できるようになりました。つまり、病院や薬局に行くときにカードを持ち歩かなくても、スマホをかざすだけで受付ができる時代が始まったのです。
この仕組みは単なる便利機能にとどまらず、「医療DX（デジタルトランスフォーメーション）」の推進にも深く関わっています。本記事では、スマホのマイナ保険証が外来診療にどんな変化をもたらし、医療DXとどのように結びついているのかを、わかりやすく解説します。
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みです。従来はカードを持ち歩く必要がありましたが、最新の「マイナポータル」アプリを使うことで、スマートフォンにも保険証の機能を入れられるようになりました。
設定には以下のものが必要です。
これらを準備してアプリで手続きを行えば、スマホにマイナ保険証機能が搭載されます。受付では専用のリーダーにスマホをかざし、顔認証や指紋認証で本人確認が行われます。
スマートフォンのマイナ保険証が導入されると、外来診療は次のように変わります。
つまり、患者にとっても医療機関にとっても「時間と手間を減らす」効果が期待できるのです。
「医療DX推進体制整備加算」とは、医療機関がデジタル技術を積極的に導入した場合に診療報酬で評価する制度です。ここで注目されるのが「マイナ保険証利用率」です。
例えば、2025年10月以降は以下の利用率を満たすと加算が認められます。
利用率が高いほど加算点数も高くなり、医療機関にとって導入のインセンティブになります。この仕組みにより、スマホ保険証の普及が一気に進むと考えられます。
スマートフォンによるマイナ保険証は、全国の「オンライン資格確認システム」と連動しています。この仕組みによって以下が可能になります。
これまでバラバラに管理されていた医療情報が、スマホ保険証を起点としてつながり始めているのです。
マイナポータルにログインすると、自分の医療費や薬の情報、検診結果などを確認できます。さらに母子手帳情報も閲覧でき、子育て世代にも役立ちます。
これにより「自分の健康を自分で管理する」という流れが強まります。生活習慣病の予防や定期検診の受診判断にもつながり、病気を早期に見つける助けになります。
2025年春の時点で、マイナ保険証の利用率は病院や診療所でおよそ31%、薬局で34%程度にとどまっています。普及は進んでいますが、まだ十分ではありません。
普及を妨げる要因には次のものがあります。
これらの課題を解決することで、利用率はさらに高まると考えられます。
将来的には、スマホ保険証は医療DXの中心的な役割を果たすと期待されています。
これらが実現すれば、日本の医療はさらに効率的で安全になり、患者の利便性も飛躍的に高まるでしょう。
スマートフォンで使えるマイナ保険証は、外来診療を便利にするだけでなく、医療DXを加速させる大きな力を持っています。今後は利用率の向上とともに、全国的な医療情報基盤の整備が進み、誰もが安心して医療を受けられる社会の実現につながることが期待されます。
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